「新しく始まったCGS鑑定、本当に信頼できる?」
「PSAより早いし安いって聞くけど、オリパの当たりとして価値はあるの?」
「大切なカードを鑑定に出して、後悔だけはしたくない…」
トレーディングカードを愛する全てのコレクターにとって、「鑑定」は避けては通れない、しかし非常に悩ましいテーマです。
特に2023年に登場した「CGS(Clove Grading Service)」は、その納期の速さと料金の安さで注目を集める一方、多くの謎と不安の声に包まれています。

こんにちは。オリパブログを運営している管理侍です。
日々、数多くの鑑定品を目玉商品として扱っており、どの鑑定品が本当にユーザーに求められ、市場価値を持つのかを、ビジネスの最前線で厳しく見極めてきました。
この記事では、巷に溢れる噂や古い情報に惑わされているあなたのために、私の運営者としての経験と徹底的なリサーチに基づき、「CGS vs. PSA」の真実に迫ります。
この記事を読み終える頃には、あなたは専門家レベルの知識を身につけ、自信を持って「自分のカードに最適な選択」を下せるようになっているはずです。
- PSAとCGSの“本当の”納期と料金の比較
- 「CGSは信頼できない」と言われる3つの構造的な理由と、市場価値の不確実性
- 【独自考察】CGSの裏にある「Clove経済圏」というビジネス戦略
- あなたの目的(資産形成 or コレクション)に合わせた最適な鑑定サービスの最終結論
そもそもカード鑑定とは?なぜ「第三者機関」が重要なのか
CGSとPSAの比較を始める前に、全ての基本となる「なぜ私たちはカードを鑑定に出すのか?」という点について、少しだけ掘り下げておきましょう。
鑑定の本質的な目的を理解することで、この後の両社の違いがより明確に見えてきます。
トレーディングカードの鑑定には、大きく分けて3つの重要なメリットがあります。
まず何よりも、そのカードが公式に発行された本物であることを専門家が証明してくれます。
残念ながら、高額なカードの市場には精巧に作られた偽造品も存在します。
鑑定は、そうした偽物から資産を守り、安心して取引を行うための、いわば「パスポート」の役割を果たします。
カードの物理的な状態(傷、汚れ、印刷のズレなど)を、10段階などの客観的な基準で厳密に評価し、点数をつけてくれます。
これにより、「美品」といった個人の主観的な言葉ではなく、「PSA 9」「CGS 9.5」といった世界共通の言語でカードのコンディションを語れるようになります。
これが、客観的な価値基準の土台となるのです。
鑑定済みのカードは、紫外線(UV)カット機能を持つ、不正開封防止仕様の特殊な硬質ケースに封入されます。
これにより、湿気や光、物理的なダメージといった、カードの劣化を招くあらゆる外的要因から、あなたの大切な一枚を半永久的に守ることができます。
ただの状態評価だけでなく、最高の「保管方法」でもあるのです。
そして、これら3つのメリットを絶対的なものにするために、最も重要な概念が「第三者性」です。
もし、鑑定を行う会社がカードの販売や買取といったビジネスにも深く関わっているとどうなるでしょうか。
「自分の店で高く売るために、意図的に甘い評価を付けたのではないか?」「安く買い叩くために、不当に低い評価を付けたのでは?」といった利益相反 の疑念が、どうしても生まれてしまいます。
だからこそ、カードの売買市場から完全に独立し、いかなる損得勘定も抜きに、ただひたすら中立かつ公平な立場で評価のみを行う「第三者機関」の存在が不可欠なのです。
その評価が絶対的に信頼されるからこそ、世界中の誰もが安心して高額な取引を行えるのです。この「第三者性」という言葉を、ぜひ覚えておいてください。
これが、CGSとPSAを比較する上で、最も重要なキーワードとなります。
【結論】あなたのカード、CGS鑑定に出すべき?3つの質問で診断


本題に入る前に、あなたが最も知りたいであろう「で、結局私はCGSとPSA、どっちを選ぶべき?」という疑問に、先に結論からお答えします。
ここでは簡単な3つの質問に答えるだけで、あなたに最適なサービスの方向性が見えてきます。
さっそく始めましょう。
【質問①】鑑定の最大の目的は、カードの「資産価値を最大化」することですか?
これが最も重要な質問です。
あなたの目的が、将来的な売却も視野に入れた「資産」としての価値を高めることにあるかどうかを考えてみてください。
- はい、資産価値が最優先です。
→ あなたの最適解は「PSA鑑定」です。
業界標準の信頼性と、世界中で認められる市場価値は、資産性を考える上で他の追随を許しません。納期が大幅に改善された今、迷わずPSAを選びましょう。 - いいえ、資産価値は最優先ではありません。
→ 次の【質問②】へ進んでください。
【質問②】鑑定の主な目的は「納期の速さ」や「手軽な状態確認」ですか?
資産価値よりも、個人的な満足度を重視する場合の質問です。
自分のコレクションの状態を客観的な数値で把握したい、あるいは、とにかく早くケースに入れて飾りたい、といったニーズが当てはまるか考えてみましょう。
- はい、スピードや手軽さが目的です。
→ あなたの有力な選択肢は「CGS鑑定」です。
業界最速レベルの納期は、あなたの「すぐに結果が知りたい」というニーズに応えてくれます。
ただし、この記事で詳しく解説している、CGS鑑定が抱える「信頼性」や「市場価値」に関するリスクは、必ず理解しておきましょう。 - いいえ、特に急いでいません。
→ あなたの選択肢は「どちらでもOK」です。
納期を気にしないのであれば、純粋にケースのデザインの好みで選ぶのも良いでしょう。
CGSの黒いホルダーが好みならCGS、PSAのシンプルなホルダーが好みならPSA、といった形で直感的に決めるのも一つの楽しい選び方です。
【質問③】「信頼性も欲しいけど、速さも捨てがたい…」と迷っていますか?
「資産価値も気になるけど、PSAの納期はまだ不安…」「CGSの速さは魅力だけど、信頼性が心配…」このように、両方のメリット・デメリットの間で心が揺れ動いている方も多いでしょう。
→ その迷いを解消するために、この記事は存在します。
特に次の【CGS vs. PSA サービス比較】のセクションをじっくりお読みください。
料金、納期、信頼性、市場価値、鑑定基準という5つの具体的なデータを客観的に比較することで、あなたがどちらの要素をより重視するのか、その価値観が明確になります。
【徹底比較】CGS vs. PSA サービス比較
CGSとPSA、両者の特徴を客観的なデータに基づいて徹底比較します。
まずは以下の比較表で、両社の強みと弱みの全体像を掴んでください。この後、表の各項目を一つひとつ順番に、さらに深く、詳細に掘り下げて解説していきます。
▼CGS vs. PSA サービス比較表を見る
特徴 (Feature) | CGS (Clove Grading Service) | PSA (Professional Sports Authenticator) | 備考 (Notes) |
---|---|---|---|
運営母体 | 株式会社トラストハブ (Clove運営) | Collectors Universe (米国) | CGSは国内大手、PSAは世界最大手 |
主な特徴 | 国内完結、最短2週間のスピード | 世界標準の信頼性、高い流動性 | CGSは速さ、PSAは信頼性が強み |
鑑定料 (例: 申告価格5万円) | 3,300円(スピーディ鑑定) | 3,850円(バリュープラス) | 低価格帯では料金は比較的近い |
鑑定料 (例: 申告価格25万円) | 6,600円(スピーディ鑑定) | 8,980円(レギュラープラン) | 高額カードではPSAがやや割高になる傾向 |
納期 (例: 申告価格5万円) | 約2週間〜1ヶ月 | 約20営業日(バリュープラス) | もはや納期に大きな差はない |
市場での信頼性 | 発展途上(第三者性に懸念) | 非常に高い(業界標準) | PSA鑑定品は安定した価格で取引される |
この表が示す通り、かつてCGSが持っていた「納期」のアドバンテージは、PSAの劇的なスピード改善によって、もはや決定的な差ではなくなりました。
一方で、「信頼性」とそれに伴う「市場価値」では、依然としてPSAがCGSを圧倒しています。
それでは、各項目を一つずつ、さらに詳しく見ていきましょう。
比較① 信頼性・公平性 ~鑑定サービスの心臓部~
鑑定サービスの価値を根底から支える、最も重要な要素が「信頼性」と「公平性」です。
これは単なるイメージではなく、その鑑定会社の評価が、世界中のコレクターやディーラーからどれだけ信用され、共通の価値基準として受け入れられているか、という極めて実利的な問題です。
CGSの信頼性における最大の課題は、この記事の冒頭で鑑定サービスの心臓部として解説した、「第三者性」の欠如という構造的な問題にあります。
分かりやすく言えば、CGSを運営する株式会社トラストハブは、同時に日本最大級のトレカ通販・フリマサイトである「Clove」を運営しています。
これは、鑑定を行う会社と、そのカードを売買する会社が同じ企業グループであることを意味し、利益相反の疑念を構造的に内包しているのです。
「自分たちで売るカードに、有利な評価を付けているのではないか?」
「安く買い取るために、不当に厳しい評価を付けているのでは?」
たとえCGSがどれだけ誠実に運営を行っていたとしても、この「鑑定と売買の癒着」という構造がある限り、外部の人間がこうした疑念を完全に払拭することはできません。
2023年にサービスを開始したばかりという歴史の浅さも相まって、鑑定実績の蓄積もまだ十分とは言えません。
これが、多くのベテランコレクターや、独立系のカードショップが、CGSの評価を額面通りに受け止めきれない、シンプルかつ最大の理由なのです。
信頼を確立するには、鑑定基準の透明性を高めるとともに、何年にもわたる地道な実績を積み重ねていく以外に道はありません。
一方のPSA(Professional Sports Authenticator)は、1991年に米国で設立された、世界で最も歴史と実績のあるトレーディングカード鑑定専門の会社です。
その最大の特徴は、カードの製造や販売には一切関与せず、鑑定のみに特化することで完全な第三者機関としての立場を30年以上貫いてきた点にあります。
これまでに鑑定したカードは累計で4,000万枚以上。この膨大な実績とデータは、他のどの鑑定会社も追随を許さない、PSAだけの圧倒的な強みです。
その結果、PSAの鑑定評価は、国境を越えて世界中のコレクターやディーラーから「事実上の業界標準(デファクトスタンダード)」として、絶対的な信頼を勝ち得ています。
PSAのケースに入っているというだけで、そのカードの真贋と状態が、世界共通の厳格な基準で保証されるのです。
オークションハウスのサザビーズやクリスティーズでポケモンカードが取引される際も、基準となるのはPSAの評価です。
この揺るぎない「信頼性」こそが、PSA鑑定品の価値を支える根幹であり、多くの人々がPSAを選ぶ究極の理由なのです。
比較② 料金プラン ~安さのCGSか、合理性のPSAか~
次に、鑑定にかかる「料金」を比較します。
特に、一度に多くのカードを鑑定に出したいと考えている方にとっては、一枚あたりのコストはサービス選択における重要な判断材料となります。
CGSの料金体系は、PSAと比較して非常にシンプルです。
その最大の特徴は、鑑定に出すカードの市場価値に関わらず、鑑定料金が一律であること。
2025年7月現在、主要なプランと料金は以下の通りです。
- 通常鑑定: 1,650円(税込)
- スピーディ鑑定: 3,300円(税込)
これは、市場価格が数百円のノーマルカードであっても、100万円を超えるような超高額カードであっても、同じ料金で鑑定できることを意味します。
そのため、「高額カードをできるだけ安く鑑定したい」と考えるユーザーにとっては、大きな金銭的メリットがあるように見えます。
しかし、この料金体系は、万が一の輸送中や鑑定中の事故の際に、鑑定会社が負うべき補償額のリスクを考慮していない設定とも言えます。
そのシンプルさが、逆に高額カードを預ける上での一抹の不安要素となる可能性も否定できません。
対照的に、PSAの料金体系は、鑑定に出すカードの申告価格(Declare Value)によって段階的に変動する、リスク連動型を採用しています。
これは、鑑定会社が預かるカードの価値に応じて、保険やセキュリティといった管理コストが変わるためで、非常に合理的かつ透明性の高い仕組みと言えます。
2025年7月現在の主要なプランは以下の通りです。
プラン名 | 申告価格の上限 | 鑑定料金(税込) |
---|---|---|
バリュー | $499 (約7.5万円) | 3,850円 |
バリュープラス | $499 (約7.5万円) | 6,300円 |
レギュラー | $1,499 (約22万円) | 12,000円 |
エクスプレス | $2,499 (約37万円) | 24,000円 |
(申告価格は1ドル150円で換算) |
一見するとCGSより高価に感じますが、これは単に高いわけではなく、高額なカードを預ける上での「保険料」や「安心料」としての側面が強いのです。
万が一、鑑定プロセス中にカードが破損したり紛失したりした場合、この申告価格を上限として補償が行われます。
あなたの大切な資産を守るための、理にかなったシステムと言えるでしょう。
比較③ 納期 ~「PSAは遅い」は、もはや過去の話~
「納期」、つまりカードを提出してから手元に戻ってくるまでの期間は、かつて両社を比較する上で最大の差別化要因でした。
しかし、その状況は劇的に変化しています。
CGSの最大の魅力の一つが、その納期の速さであることに変わりはありません。
公式サイトでは、料金プランに応じて以下の納期が目安として公表されています。
- 通常鑑定: 約1ヶ月
- スピーディ鑑定: 約2週間
このスピード感の秘密は、鑑定プロセスがすべて日本国内で完結している点にあります。
海外への発送という時間的・物理的なボトルネックがないため、驚異的なスピードを実現できるのです。
特に、発売されたばかりの最新カードをいち早く鑑定してコレクションに加えたい、あるいは市場の熱が高いうちに売却したい、といったニーズを持つユーザーにとって、この速さは依然として大きな武器です。
かつてPSAは「納期が数ヶ月以上かかる」のが当たり前で、その遅さが最大のネックとされてきました。
しかし、その認識はもはや過去のものです。
2024年現在、PSAは体制を大幅に強化し、驚くべきスピード改善を実現しています。
公式サイトの最新情報によると、最も安価な「バリュー」プラン(申告価格$499以下)でも約45営業日、一つ上の「バリュープラス」プランでは約20営業日、さらに高額カード向けの「レギュラー」プラン以上では約10営業日での返送が目安となっています。
(※公式情報。出典:PSA Services & Pricing)
これは、CGSの公称納期(通常プランで約1ヶ月、スピーディプランで約2週間)と比較しても、プランによっては遜色ない、あるいはそれ以上のスピードです。
もちろん、鑑定はアメリカ本社で行われるため輸送期間はかかりますが、「PSAは遅すぎるからCGSを選ぶ」という判断基準は、もはや成り立たなくなってきています。
この「PSAの納期改善」という事実は、鑑定サービスを選ぶ上で絶対に知っておくべき、最も重要な情報の一つです。
【核心】CGS鑑定が「やばい・信頼できない」と言われる3つの構造的理由


なぜCGSは、そのスピードや安さにもかかわらず、「信頼できない」という評判が絶えないのでしょうか。
その背景には、CGSというサービスが内包する、看過できない3つの構造的な問題が存在します。
この章では、その核心に深く切り込んでいきます。
理由①:運営会社が買取も行う「第三者性の欠如」という構造的問題
CGS鑑定への不信感の根源、その最大の理由は、この記事の冒頭で“鑑定サービスの心臓部”として解説した、「第三者性の欠如」という一言に尽きます。
これはCGSのサービス設計における、最も根本的かつ深刻な問題点です。
前述の通り、鑑定という行為は、その評価を下す機関が完全に中立的な第三者機関であることが大前提となります。
しかし、CGSはカードの売買も手掛けるCloveが運営しているため、その公平性に常に疑問符が付きまといます。
「私たちのような独立したカードショップの現場では、CGS鑑定品の評価をそのまま鵜呑みにして査定額を出すことは、まずあり得ません。
なぜなら、その評価に市場全体の合意形成がないからです。
PSA鑑定品であれば、その評価は世界中のコレクターやショップが認める『共通言語』として機能します。
しかし、CGSの評価は、極端に言えば『Cloveという一つの企業が付けた評価』に過ぎません。
そのため、CGS鑑定品が持ち込まれた際は、あくまでケースに入った素体 (そたい) (※鑑定されていない状態のカード)として扱い、当店独自の基準でゼロから再査定するのが基本です。
これが、CGS鑑定品の市場価値が安定しない最大の理由なのです。」
田中氏のコメントは、実店舗を持つプロからの、非常に重い意見です。
どんなに高い評価が付いていても、その評価の信頼性が市場全体で共有されていなければ、「価値」として認められにくいのが現実です。
この構造的な問題こそが、CGSが「信頼できない」と言われる最大の理由なのです。
理由②:ブラックボックスな鑑定基準と不可解なクロスオーバー事例
CGS鑑定に対する不満の第二の柱は、その「鑑定基準の不透明さ」です。
ユーザーは、自分の大切なカードが「なぜその評価になったのか」を知る権利があります。
しかし、CGSの鑑定基準は一切公開されておらず、多くのユーザーが納得感を得られないまま、鑑定結果だけを突きつけられているのが現状です。
この問題が最も顕著に表れたのが、ある有名なクロスオーバー(※ある鑑定会社の鑑定品を、別の鑑定会社に再鑑定に出すこと)事例です。
あるYouTuberが「CGSで評価6だったカードをPSAに提出したら、最高評価であるGEM MINT 10になった」という衝撃的な動画を公開し、界隈に大きな衝撃を与えました。
評価6といえば、CGSの基準では「目に見える傷や汚れが複数ある」状態です。
それが、世界で最も厳しいとされるPSAの基準で「事実上完璧な状態」を意味する10と評価されたのです。
これは、両社の間に鑑定基準の互換性が全くないことを意味します。
このような事例が一つでもあると、ユーザーはCGSの評価スケールそのものを信用できなくなってしまいます。
「CGSの評価は一体何を見ているんだ?」という不信感が生まれるのは、至極当然のことでしょう。
また、多くのユーザーが口を揃えて言う「CGS10は厳しい」という言葉の裏にも、この問題は潜んでいます。
確かに、市場に出回るCGS鑑定品の中で、最高評価である10は滅多に見かけません。
これを「鑑定が厳しいからだ」と好意的に捉える声もあります。
しかし、基準が不透明なままでは、それが本当に厳格な品質管理の結果なのか、あるいは意図的に最高評価の排出を絞ることで希少性を演出しようとしているのか、ユーザーには判断がつきません。
全てがブラックボックスの中で行われるため、ユーザーはただ結果を待つことしかできないのです。
これは、コレクターにとって大きなストレスであると同時に、サービスへの信頼を損なう大きな要因となっています。
理由③:限定的な市場価値とオリパ運営者としてのジレンマ
CGSが「やばい」と言われる第三の理由は、その「限定的な市場価値と流通量」にあります。
どんなに立派なケースに入っていても、その鑑定品が市場で広く受け入れられ、活発に取引されなければ、その価値は極めて限定的なものになってしまいます。



🎙️ 私のブログの信条は、全ての主張をデータに基づいて行うことです。
CGS鑑定を評価するにあたり、私はまず3つの主要なデータソースを設定しました。①Clove公式買取価格、②フリマアプリ(メルカリ等)の実取引価格、③主要カードショップの買取価格です。
分析を始め、すぐに異常な結果が出ました。
データソース①だけが、他の②③から大きく乖離した『異常値』を示していたのです。
通常、市場が健全であれば、これらの価格はある程度連動するはずです。
しかし、CGSに関しては、データソース②と③が『市場価値は未形成、あるいは低い』と示しているにもかかわらず、①だけが突出して高い。
データアナリストとして、この状況から導き出される結論は一つです。
『CGSの価値は、まだCloveという単一の企業の意向によってのみ形成されており、市場全体のコンセンサスを得られていない』。
私の役割は、この分析結果を読者にそのまま提供することです。
もし私がデータ①の魅力的な数字だけを切り取って伝えれば、それは分析ではなく、誤解を招く『扇動』になってしまいます。
客観的なデータが示す結論が、たとえ期待外れのものであったとしても、それこそが読者が知るべき最も価値ある情報だと、私は確信しています。
私のこの経験は、CGSが抱える本質的な課題を浮き彫りにしています。
現状のCGSは、言わば「Clove経済圏」という閉じた世界の中でのみ、その価値が最大化されるサービスと言えるかもしれません。
一度その経済圏の外に出た途端、その価値は大きく目減りしてしまう危険性を孕んでいるのです。
【市場価値の真実】CGS鑑定品の買取価格は信頼できるか?


コレクターにとって最も重要な「で、結局いくらで売れるの?」という問いに、市場データを用いてお答えします。
この章では、CGS鑑定品のリアルな市場価値と買取価格の実態に迫ります。
理想(公式買取価格)と現実(市場取引価格)のギャップを理解することが、賢明な判断を下すための鍵となります。
Clove公式発表の「買取価格表」とその見方
まず、CGS鑑定品の価格を知る上で最も基本となるのが、運営母体であるCloveの買取サービス「Clove Base」を示しています。
外部リンク: Clove Base 公式Xアカウント
※最新の買取価格表は上記リンクからご確認いただけます。
価格は常に変動するため、必ず最新の情報をご参照ください。
この買取価格表を見ると、特に評価9.5や最高評価である10が付いた人気カードには、非常に高い買取価格が設定されていることがわかります。
例えば、人気キャラクターのSAR(スペシャルアートレア)や、希少なプロモーションカードのCGS10には、素体のカードの数倍、時には100万円を超えるような価格が提示されることもあり、非常に魅力的に映ります。
買取価格が高いカードの傾向と特徴としては、以下のような点が挙げられます。
- キャラクターの人気: ナンジャモ、リーリエ、アセロラといった女性キャラクターのカードは、特に高額になる傾向があります。
- カードの希少性: 配布枚数が少ないプロモーションカードや、絶版となった古いパックに収録されているカードは、希少価値から高値が付きやすいです。
- イラストの評価: 有名なイラストレーターが手掛けたカードや、構図が美しいスペシャルアートレアは、コレクション需要が高く、価格も高騰しやすいです。
- カードの状態: 当然ながら、評価点が高ければ高いほど買取価格は上がります。
特にCGS9.5とCGS10の間には、非常に大きな価格差が設けられています。
この公式買取価格表は、CGSが「自社の鑑定品にはこれだけの価値がある」と市場に対して宣言しているものであり、CGS鑑定品の価値を測る上での重要な指標となります。
しかし、この公式価格には注意すべき「落とし穴」が存在するのです。
【要注意】公式買取価格と実際の買取のギャップ
Clove公式の買取価格表を見て「こんなに高く売れるのか!」と考えるのは早計です。
なぜなら、あの価格表に記載されている金額は、あくまで「傷一つない完美品状態での上限価格」であり、「その金額での買取を絶対に保証するものではない」からです。
ここには、多くのコレクターが見落としがちな、理想と現実の大きなギャップが存在します。
買取価格表には、ほとんどの場合、小さな文字で「カードの状態や在庫状況によって買取価格は変動します」といった旨の注意書きが添えられています。
これは、実際にカードを買取査定に出した場合、様々な理由で減額される可能性があることを意味しています。
- カード自体の微細な傷: 鑑定時には見逃された、あるいは許容範囲とされた微細な白欠けや線傷、へこみなどが査定時に指摘され、減額対象となるケースです。
- ケース(ホルダー)の傷や汚れ: 鑑定品本体はカードだけでなく、それを保護するケースも含まれます。
ケースに目立つ擦り傷や汚れがあれば、それも減額の対象となります。 - 市場相場の変動: Cloveが買取価格表を更新してから、あなたが実際に売るまでの間に、市場全体の相場が下落した場合、当然買取価格もそれに合わせて引き下げられます。
- Clove側の在庫状況: 最も注意すべきなのがこの点です。
もしCloveが同じカード(同じ評価点)の在庫を大量に抱えている場合、需要と供給のバランスから、買取価格は大きく引き下げられます。
このように、公式の買取価格はあくまで理論上の最高値であり、実際にその金額が満額で振り込まれるケースは、極めて状態の良いカードを、最高のタイミングで売却できた場合に限られると考えるべきでしょう。
このギャップを理解しておかないと、「話が違うじゃないか」と、後でがっかりすることになりかねません。
フリマアプリでの取引価格と「データ不足」という現実
では、Cloveというフィルターを通さない、より客観的な市場価値を知るにはどうすれば良いのでしょうか。
その答えは、メルカリやmagiといったフリマアプリでの実際の取引価格を調べることです。
しかし、ここで極めて重要な事実をお伝えしなければなりません。
それは、「CGS鑑定品は、フリマ市場での流通量がまだ極めて少なく、客観的で安定した市場価格データは、現時点ではほぼ存在しない」という事実です。
▼主要カード PSA鑑定品 市場価格スナップショットとCGSの現状
カード名 | グレード | 市場価格レンジ | 平均価格 | CGS鑑定品のデータ |
---|---|---|---|---|
ナンジャモ SAR (クレイバースト) | PSA 9 | ¥44,500 – ¥80,000 | ~ ¥55,000 | 流通量僅少のためデータなし |
ナンジャモ SAR (クレイバースト) | PSA 10 | ¥95,000 – ¥120,000+ | ~ ¥105,000 | 流通量僅少のためデータなし |
マリィ SR (シャイニースターV) | PSA 9 | ¥16,000 – ¥22,000 | ~ ¥18,500 | 流通量僅少のためデータなし |
マリィ SR (シャイニースターV) | PSA 10 | ¥28,000 – ¥35,000 | ~ ¥31,500 | 流通量僅少のためデータなし |
注: 価格はメルカリ、ヤフオク!、主要カードショップの2025年5月〜7月の取引実績を基に独自に集計。
この表が示すように、PSA鑑定品には明確な市場価格が存在します。
しかし、CGS鑑定品については、流通量があまりに少なく、客観的で安定した市場価格データは、現時点ではほぼ存在しないというのが真実です。
これは、あなたのCGS鑑定品が「いくらで売れるか、全く予測がつかない」ことを意味し、投資的な観点からは非常に高いリスクとなります。
したがって、現時点でCGS鑑定品の価値を測る唯一の指標は、皮肉にも運営母体であるClove公式の買取価格に戻ってきてしまいます。
しかし、これは何度も言うように、市場で自然に形成された価格ではなく、運営企業自身が戦略的に提示した参考値であるということを、絶対に忘れてはなりません。
この「市場価値の不確実性」こそが、CGSが抱える最大のウィークポイントなのです。
【独自考察】CGSは鑑定にあらず?Clove経済圏という未来への投資


ここまでCGSの市場価値について解説してきましたが、ここで視点を大きく変えて、この記事の核心とも言える問いに迫ります。
それは「なぜ今、CGSというサービスが存在するのか?」という問いです。
実は、CGS鑑定を単なる「PSAの競合サービス」として捉えると、その本質を見誤ってしまいます。
CGSを理解する鍵は、その運営母体である株式会社トラストハブと、同社が運営する巨大なトレーディングカード市場「Clove(クローブ)」の関係性にあります。
CGSは独立した鑑定サービスではなく、「Clove経済圏」という巨大なエコシステムを完成させるための、極めて戦略的な一手なのです。
鑑定・売買・買取の垂直統合戦略
少し考えてみてください。Cloveは、毎日膨大な数のカードが売買される巨大な市場です。
この市場の中で、もし「鑑定→売買→買取」の全てを自社グループで完結させることができたら、どうなるでしょうか。
- 鑑定(CGS): ユーザーからカードを集め、自社の基準で価値を定義する。
- 売買(Clove): 自社で鑑定したカードを、自社のプラットフォームで販売し、手数料を得る。
- 買取(Clove Base): 自社で販売したカードを、自社の基準で買い取り、再び市場に流通させる。
これは、外部の鑑定会社(PSAなど)に依存することなく、価値の定義から流通、換金までを全てコントロール下に置く、強力な垂直統合戦略です。
CloveがCGS鑑定品に対して、時にPSA鑑定品と遜色ないほどの強気な買取価格を提示するのは、この自社経済圏の価値と流動性を高めるための、意図的な「市場形成」と言えます。
外部の鑑定会社の評価に左右されず、自社のプラットフォーム内で完結するマネタイズサイクルを構築しようとしているのです。
この視点を持つと、CGSの様々な動きが、単なる鑑定サービスの改善ではなく、より大きなビジネス戦略の一部として見えてきます。
CGSを選ぶことは「Cloveの未来」に賭けること
この戦略を理解すると、私たちがCGSに鑑定を出すという行為の意味合いが、全く違って見えてきます。
それは単にカードの状態を評価してもらうだけでなく、無意識のうちに「このClove経済圏のルールと、その将来性に同意し、参加する」という意思表示になっているのです。
もし将来、Cloveが日本のトレカ市場で圧倒的な覇権を握り、「CGSの評価こそが日本のスタンダードだ」という時代が来れば、CGS鑑定品の価値は今のPSAのように、あるいはそれ以上に高騰するかもしれません。
それは、このエコシステムが成功した未来です。
しかし、もしこの経済圏がうまく機能せず、Cloveの外にいる大多数のコレクターやショップから「信頼できない」と見なされ続ければ、その価値はCloveという閉じた世界の中だけの、限定的なもの(いわゆるガラパゴス的な価値)に終わるリスクも孕んでいます。
したがって、あなたの「CGSを選ぶか否か」という問いは、単なるスペック比較ではありません。
それは、「あなたは、この野心的なCloveエコシステムの未来に賭けますか?」という、壮大な投資判断そのものなのです。
この視点を持つことで、単なる料金や納期の比較では見えてこなかった、CGSの本質が初めて見えてくるはずです。
結論:あなたに最適な鑑定サービスはどっち?


さて、これまでの長い分析と考察を踏まえ、いよいよ最終結論です。
CGSとPSA、あなたの大切なカードを託すべきは、一体どちらなのでしょうか。
その答えは、画一的なものではありません。あなたの「目的」と「戦略」によって、選ぶべき道は明確に分かれます。
ここでは、具体的な2つのペルソナ(読者像)を想定し、それぞれに最適なシナリオを提示します。ご自身の状況と照らし合わせ、最後の決断を下してください。
シナリオA:コレクションの核となる高額カード、長期的な資産として価値を最大化したいあなた
- 鑑定に出したいのは、マリィやリーリエ、がんばリーリエといった、市場価格が数十万円を超える、あるいは将来的にそうなると信じている「エースカード」。
- 目的は、そのカードの資産価値を最大化し、5年後、10年後も色褪せない普遍的な価値を持たせること。
- 必要であれば、世界中のコレクターと取引することも視野に入れている。
→ 結論:迷わず「PSA鑑定」を選んでください。
あなたがこのシナリオに当てはまるのであれば、選択肢はPSA一択です。
理由はこれまでに何度も述べてきた通り、その圧倒的な「信頼性」と、世界中で通用する「市場での流動性」にあります。
あなたの大切な資産を守り、その価値を最大化するためには、世界中の誰もが認める共通言語であるPSAの評価が不可欠です。
高額カードを預ける上で、申告価格に応じた補償が受けられるPSAの料金体系は、リスク管理の観点からも非常に合理的です。
そして、最大のネックであった納期も、2024年現在では大幅に改善され、もはやCGSに対して致命的なデメリットとは言えません。
「安物買いの銭失い」という言葉がありますが、資産価値を考える上での鑑定サービス選びは、まさにこれに当てはまります。
目先の料金の安さやスピードに惹かれてCGSを選んだ結果、将来的に数十万円、数百万円の価値の差が生まれてしまう可能性を考えれば、今PSAを選ぶコストは、未来への最も確実な「保険」と言えるでしょう。
あなたのかけがえのない一枚には、世界で最も信頼されている鎧を着せてあげてください。
シナリオB:中価格帯のカードを、短期的な売買や新しい体験として楽しみたいあなた
- 鑑定に出したいのは、市場価格が数千円〜数万円程度の中価格帯のカード。
- 目的は、資産価値の最大化よりも、「Clove経済圏」内でのスピーディな売買を楽しんだり、最新のサービスをいち早く体験してみること。
- CGSの黒いホルダーのデザインが純粋に好みで、自分のコレクションをそれで統一したい。
→ 結論:「CGS鑑定」は計算されたリスクとして検討の価値があります。
あなたがこちらのシナリオに当てはまるのであれば、CGSは面白い選択肢となり得ます。
ただし、それはCGSが抱える数多くのリスクをすべて理解し、受け入れることが大前提となります。
CGSの最大の魅力は、やはりその「スピード感」と「Clove経済圏との連携」です。
例えば、発売されたばかりのカードをいち早くCGSで鑑定し、市場の熱が冷めないうちにCloveで売却する、といった短期的なトレーディングスタイルにおいては、そのスピードが強力な武器になるかもしれません。
また、この記事の独自考察で述べた「Cloveエコシステムの未来」に共感し、その将来性に賭けてみたいという、一種のベンチャー投資のようなマインドを持っているのであれば、CGSを選ぶ行為そのものがエキサイティングな体験になるでしょう。
しかし、その際には「Clove経済圏の外に出れば、その価値は保証されない」「客観的な市場価格が存在しないため、常に価格変動のリスクに晒される」「鑑定基準の不透明さから、予期せぬ評価を受ける可能性がある」といった事実を、決して忘れてはなりません。
これらを全て理解した上で、それでもなおCGSの魅力が上回るのであれば、その選択を止める理由はありません。
それは、あなたが自身のリスク許容度を把握した上での、主体的な「戦略」なのですから。
CGS鑑定に関するよくある質問(FAQ)


最後に、本文ではカバーしきれなかった細かい疑問点について、Q&A形式でお答えしていきます。
あなたの最後の疑問を、ここでスッキリ解消してください。
まとめ:CGS鑑定の闇と光を理解し、後悔しない選択を
この記事では、CGSとPSAという2つの鑑定サービスを、最新のデータと独自の視点で徹底的に比較・分析しました。最後に、この記事の要点を改めて整理し、あなたが次にとるべきアクションを明確に示します。
- 納期と料金: PSAの納期は大幅に改善され、もはや「CGSの圧勝」ではない。
料金は依然としてCGSに分があるが、安心料と考えればPSAも合理的。 - 信頼性と市場価値: 「第三者機関」であるPSAが、CGSをあらゆる面で圧倒しているのが現状。
PSA鑑定品には世界共通の安定した市場価値があるが、CGSの客観的市場価値は未形成。 - CGSの本質: CGSは単なる鑑定サービスではなく、運営母体であるCloveを中心とした「Clove経済圏」を構築するための戦略的な一手。
CGSを選ぶことは、その未来に投資することと同義。 - 最終結論: 資産価値を最大化したいならPSA一択。
リスクを理解した上で、スピードや新しい体験を重視するならCGSも選択肢になり得る。
この情報を元に、あなたが次にとるべきアクションは明確です。
- シナリオA(資産価値最大化)に当てはまるあなたは…
👉 PSA公式サイトでサービス詳細を確認し、世界基準の安心を手に入れる - シナリオB(スピード・新体験重視)に当てはまるあなたは…
👉 CGS公式サイトでサービス詳細を確認し、そのスピードと未来に賭けてみる
この記事が、あなたの賢明な判断の一助となり、後悔のない、素晴らしいコレクターライフに繋がることを心から願っています。